航海の始まり

私は、人生という名の大海原を漂っていました。

 

行くあてもなく、目標もなく。

 

泳ぐすべも知らずに、

海の波に身を任せ、流れに身を任せ。

 

何度か島にたどり着くこともありました。

 

そこは映画の島だったり、酔っぱらいが多い島だったり。

 

ゲームの島なんてものもありました。

 

それらの島で過ごす日々は、

楽しいこともあればつらい日もありました。

 

しかし私は、どの島にも定着することはなく、

結局のところ、また大海原を漂う毎日に行き着くのでした。

 

そんなある日、

得体の知れない船が目の前に現れました。

 

その船こそが『Rickeyクルーズ』だったのです。

 

漂うことにも疲れていた私は、

誘われるままに船に乗り込みました。

 

乗り込んでみても、依然として船の得体が知れません。

 

この船はどこに向かっているのか。

 

そう問いかけることもできずに、

私は波の上を走る船の揺れに、

倒れないように踏ん張ることで精一杯でした。

 

『Rickeyクルーズ』には、

スタッフの方と共に多くのクルーが乗っていました。

 

クルーそれぞれが、己のコンパスと海図を元に、

みんながみんな違った場所を見ているように思えました。

 

クルーたちには目標があり、向かう先があるのだ、と。

そう感じた私はすぐにでもその船を降りたくなりました。

 

私がここにいるのは場違いだと、そう感じたのです。

 

しかし、あるスタッフの方と話をした時、

その思いはがらりと変わりました。

 

「目的地がなくてもいい。

 

まずは泳ぎ方を覚えてみてはどうか。

 

自分という船の舵の取り方を覚えてみないか」

 

盲点でした。

 

泳ぐことが出来れば、目的地ができた時に向かうことが出来る。

 

舵の取り方を覚えることが出来れば、自分という船をコントロールすることが出来る。

 

それらのすべは、

 

荒波が打ち寄せる大嵐の日でも、

しんと静まり返った凪の日だろうと、

力強く私を支えてくれることでしょう。

 

私は『Rickeyクルーズ』に乗船することを決めました。

 

いつか自分という船のキャプテンになれるよう、

この『Rickeyクルーズ』という船の乗組員の一人として、

私は頑張りたいと思います。

 

キャプテンXの航海の始まりです。

 

 

 

文責：

就労移行支援事業所

Rickeyクルーズ仙台青葉通

クルー　キャプテンX